詠み人誰知らず
どこにも帰りたくない気分だった
実家にも帰りたくないし
彼氏の家にも長くはいたくないし
アパートにも帰りたくない
どこにもいない
この時間軸の
この場所の
どこにも
ホームの対岸に停まった電車内
昼光色に照らされて はっきりと
見知った顔を探していた
せめて似ている顔でもいいから
いなかった
こちらを見て、「あら」と気づかれるような願望
昔みたいに「○○ちゃん」と呼ばれる願望
おかしなものだ
おかしなものだ
そんなことあまり思ったことなかったのに
そこまで仲のいい人なんて 元々いなかったはずなのに
何を絆されているんだろう
腹の底から突き出るような自我やら自意識を
私自身すら無視して風のように流れていく
気をしっかり持ってくれ
頼むから、
始まる前から諦めないでくれ
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